育児の悩みや子どもの成長を記録するツールとしてSNSを使う人が多くなり、写真を投稿することも一般的になりました。パパ・ママの育児の助けになる一方で、リスクも知られるようになってきています。
子どもの写真を投稿する際に、「あれ? この写真はいいのかな」「ちょっと不安だな」とお悩みの方、必見! 子ども・家族の出張撮影fotowa(フォトワ)が専門家に聞いた「SNSの“子ども写真“投稿ガイドライン」をご紹介します。
「SNSの“子ども写真”投稿ガイドライン」7つのポイント
今回は、ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子先生に話をお聞きしました。
ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授 高橋暁子先生
LINE、Instagram、Twitter、TikTok等のSNSに精通。10代のSNS利用実態や情報リテラシー教育が専門で、『ソーシャルメディア中毒』等著書、メディア出演多数。中学生の母。元小学校教員。教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。
私もそうでしたが、SNSのおかげで「孤独な子育て(孤育て)」にならず、救われた人もいます。また、数年後に投稿した写真を見返すことで、子どもの成長を感じられるというメリットもあります。気をつけるべきポイントを知って、うまく活用することが重要です。
子どもの写真をSNSに投稿するときに、気をつけたい7つのポイントはこちら。
1.個人情報を出しすぎない! 情報の組み合わせが危険に
SNSに写真を公開すること自体に問題があるわけではありません。写真単体で公開することはそこまで危険性はないでしょう。ただ、SNSでは情報の組み合わせに注意が必要です。顔や名前、住所など、いくつかの情報が組み合わさると、住所や通っている学校、生活圏の特定や身バレの可能性があります。
例えば、インターネット上に掲載されている、サービスのイメージ写真などは、ピンポイントで個人情報が特定されることはないと思います。一方、SNSでは、投稿した写真から顔がわかった上で、写り込みや書き込んだ文章などから名前や住所がわかってしまう可能性があります。
そうすると、意図しない形で不特定多数に情報が伝わってしまい、個人情報が特定される危険性があります。SNSでは個人情報を出しすぎないというのがポイントです。
2. 「裸」は絶対NG! これだけは気をつけよう
子どもの「裸の写真」は、小児性愛者が収集したり、児童ポルノサイトなどに転用・悪用されたりしてしまうリスクがあります。世界的にも児童ポルノに対しては規制が厳しくなっています。子どもの「裸の写真」は投稿を控えましょう。
特に、下半身や局部が写っている写真は投稿NGです。赤ちゃんのときなど、「こんな小さい子なら大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、SNSには載せない方が安全です。
愛おしいわが子の、生まれたままの貴重な姿を、写真に残しておきたいというパパ・ママもいらっしゃいますし、写真に残しておくこと自体は問題ありません。ただし、SNSに投稿するときは、着衣の写真を選ぶことをお勧めします。投稿にあたっては、SNS側のルールにも沿うよう確認しましょう。
3. 〈映り込みに注意〉住所を特定させない
自宅や学校の情報が写っている写真は、自宅や学校でのまちぶせ、ストーカー、誘拐被害などのリスクがあります。自宅の外観がわかるような写真や家の前の写真から自宅が特定されたり、幼稚園・保育園の通園バスなどの情報から通っている園や学校が特定されたりすることもあります。
場所がわかる情報が写り込んだ自宅の1〜2キロ圏内の写真は投稿を避けるのが良いでしょう。
また、SNSでは、例えば「今日は運動会です」という文章を投稿すると、過去に投稿された制服姿の写真から情報を組み合わせて、通っている学校や住所などの個人情報が特定されることもあります。
写真に、住所がわかるものが写っていないか、通っている幼稚園・保育園・学校名が写っていないか、子どもの名前が書いた名札などが写っていないかなど、情報の映り込みを確認しつつ、投稿する文章にも注意しましょう。
4. 〈本名は出さない〉できるだけネット専用のニックネームを
最近は個性的な名前の子が多く、インターネットで検索すると、そのお子さまがピンポイントで特定されてしまうケースもあります。SNSの投稿は、本名を出さずに行うのが良いでしょう。
ネット専用のニックネームを用意したり、娘ちゃん。息子くんといった呼び名にするのがおすすめです。
また、保護者の方が本名でSNSを使っている場合もあると思います。「〇〇さんの子ども」として注目が集まる可能性もあるので、なるべくお子さまの本名は出さない方が良いでしょう。
5. 子どもの立場に立って考えよう「デジタルタトゥー」にならないために
小さな子どもの懸命に頑張る姿や、やらかした姿は些細なことでも、可笑しくもかわいい姿ですよね。トイレトレーニングも、おねしょも、どうしてそうなっちゃった? というワンシーンも、親にとっては愛おしい瞬間です。
でも、そういう写真をSNSに晒してしまうのは、子どもにとって不都合な「デジタルタトゥー」になってしまう可能性があります。
「デジタルタトゥー」とは、デジタル情報(文字や画像、動画など)がSNS等に公開され、“将来の自分にとって不利益な情報が残り続けてしまうこと”です。過去に投稿された恥ずかしい写真がきっかけで、将来いじめに繋がったり、親子関係が悪化したりすることも考えられます。
思春期を迎えたお子様が、この投稿を見たらどう思うか想像し、少しでも嫌がりそうだと感じたら、それは避けた方が良い投稿です。
自分がネットの中でどう振舞うかは、子ども自身が将来的に決めることで、親が勝手に決めることではないというのを理解しておくことが大切です。写真は期間限定であげたり、本名を出さないという対策を行うと良いでしょう。
6. 投稿前に確認 一緒に写った人は公開OK?
他人が写った写真を、無許可で掲載するとトラブルになることがあります。「勝手に投稿されて、とても迷惑です」と学校に苦情が寄せられたという話もよく聞きます。
一緒に写った人には、あらかじめ全員に「SNSに載せたいんですがいいですか?」と許可を取った上で投稿する、もしくは、顔をスタンプやモザイクで隠す配慮をするとトラブルに繋がりにくいと思います。
7.公開範囲も検討すること
SNSの公開範囲を、家族や友人・知人に限定している「限定公開のアカウント」と、制限のない「オープンアカウント」のどちらが良い悪いということはありませんが、プライベートな情報を投稿したい場合は、アカウントを分けることをおすすめします。
「限定公開のアカウント」では会ったことがある人や社会的なつながりがある人、身分・人柄がよくわかっている人とのみやりとりをし、「オープンアカウント」では、「1歳のママ」などざっくりした情報のみで、細かい個人情報は載せないという対策も有効です。
プライベートな情報と一緒に写真を投稿したい場合は、鍵をつけたアカウントを使ったり、時間が経つと投稿が見えなくなるInstagramのストーリーズ機能を使うのも良いでしょう。オープンなアカウント、プライベートなアカウントで使い分けて、情報の切り分けを行うことで特定のリスクやトラブルを避けることができます。
ただし鍵をかけたアカウントでも、趣味が同じというだけの人にもフォローを許可するなどしていたら、当然リスクがあります。また、鍵をかけていても、知らない人が見て不快に思う可能性がある投稿などはしないようにしてください。
SNSに投稿してもOKな写真例を紹介
親子で手をつないだ影やシルエット
影の写真やシルエットの写真は、情報を出しすぎず親子の姿が映るのでおすすめです。親子の身長差がわかり、可愛らしく見えます。また、手を繋ぐことで家族の愛情が感じられる一枚になるはずです!
後ろ姿
親子で一緒に後ろ姿を撮ってみてはどうでしょうか? 顔が見えないように隠しつつ、来ている服の雰囲気や全身をうつすことができます。また、元気に走り回る後ろ姿や、何かに夢中になっている後ろ姿は、子どもの愛おしさを感じられる写真になります。
横顔のほっぺ、小さな手足。
あどけない、まあるい形のほっぺや、小さな手足など、子どもらしいパーツを撮るのもおすすめです。幼い頃ならではの写真になり、子どもの可愛さを伝えられます。「親子で手を重ねたカット」なども、おてての小ささが際立って「こんなに小さかったんだ」と年を重ねるごとに実感できる良い写真になります♫
小さい子の顔のアップ
写真はあんまり背景が大きすぎるといろいろな情報がわかってしまいます。その子を中心にアップにして撮ることで、背景の写り込みに注意しつつお子さまの写真を撮ることができます。顔ができあがる前の幼い頃などは、顔のアップもおすすめです。
出張撮影など記念写真を撮影してもらう場合は、SNS投稿用の写真をお願いするのもおすすめです。
【まとめ】SNSを上手に活用し、子育てライフを楽しもう!
うまく活用していくことで、育児の息抜きをしつつ、子どもへの愛情も表現できるSNS。SNSのつながりから、子育てに関する情報や共感、アドバイスなどが得られるメリットの他、何年後かに、親子で過去の投稿を見返し「かわいいね」「ほめられていて嬉しいね」など、写真を眺めながら話すのも楽しみのひとつになるでしょう。
今回ご紹介した7つのポイントに気をつけながら、上手にSNSを活用し子育てライフを楽しみましょう。