「子供が生まれても共働きを続けたい」という家庭にとって、保育園はなくてはならない存在。もちろん子供にとっても、一日の大半を過ごす大事な居場所です。
保育園選びのポイントになる基本的な制度と、「認可」「無認可」の違いをまとめました。
目次
そもそも「保育園」ってどんなところ?
保育園は、仕事などの理由により家庭でじゅうぶんな保育ができない場合に、保護者に代わって保育するため児童福祉法に位置付けられた「児童福祉施設」です 1。幼稚園が「教育機関」と位置付けられて文部科学省の管轄であるのに対し、保育園は厚生労働省が担当しています 2。なお、保育内容の基本は「保育所保育指針」に定められています。
保育園と幼稚園にはどんな違いがある?
保育園と幼稚園には、たとえば下記のような違いがあります。
- 保育園は0歳児から、幼稚園は3歳児から 3
- 標準の教育(保育)時間は、幼稚園は4時間、保育園は8時間
また、「認定こども園」という、幼稚園と保育園の良さを兼ねそなえたような施設も各地にできています。
国が定める「認可基準」。自治体によってはさらに厳しい基準も
「認可保育園」は、国の基準をもとに自治体が「認可」している保育園です 4。
一時期、保護者と園が直接契約を結ぶ方式へと変わりつつありましたが、現状では「利用調整(保育の必要性を自治体が判断して入所者を決める方法)」が必要な場合が多いため、住んでいる自治体に保護者が申し込み、保育の必要性が高いと判断された順に入所できるしくみとなっています 5。
なお、保育料は住民税の額が基準になり、自治体によって定められています 6。
どのような認可基準が設けられている?
子供の年齢ごとに決められた「保育士の数」や、「居室面積」「人権に直結する運営基準(虐待禁止)」などは、厚生労働省が定めている「認可基準」をクリアする必要があります。
【国の最低基準】
▽保育士の数
0歳児3人につき1人
1歳、2歳児6人につき1人
3歳児20人につき1人
4歳以上児30人につき1人
▽居室面積の基準(部屋の面積)
【0、1歳児を入所させる保育所】
乳児室の面積:1.65㎡/人、ほふく室の面積:3.3㎡/人
【2歳以上児を入所させる保育所】
保育室の面積:1.98㎡/人、遊戯室の面積:1.98㎡/人
(出典: 厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)
自治体独自の認可基準も
自治体によっては、国の基準以外にも基準を設けているところもあります。
たとえば、杉並区のように人員配置や床面積が国の基準以上に手厚くなっている自治体や 7、江戸川区のように区立保育園では0歳児保育を行わないといった自治体もありさまざまです 8。
以前の認可基準では定員は60人以上(※小規模保育所は20人以上)とされていましたが 9、2015年からは0~2歳のみを保育する「地域型」と呼ばれる定員20人以下の保育園も基準を満たせば認可保育園として認められるようになりました 10。
「無認可」にもいろいろある!独自の方針・工夫をしている園も
「無認可」の保育園は、公式には「認可外保育所」と呼ばれます。公費で運営される施設ではないため保育料が比較的高く、敬遠される傾向がありますが、「夜間や休日にも預かってほしい」「不規則勤務のため、長時間預けたい」などのニーズがある場合、認可外保育園は大きな選択肢になります。
無認可の場合「保育の質」が気になるところですが、保育内容が充実していても独自の方針を持つために「あえて認可申請をしない園」などもあり、一概に質が低いとはいえません 11。
ただし、千差万別であるがゆえに「安心して任せられる園かどうか」「子供にあっているか」「お弁当が必要か」などについては、1件1件保護者が確かめる必要があります。
「無認可=質が低い」とはかぎらない。質を保つためのしくみ
無認可の中にも、東京都の「認証保育園」、横浜市の「横浜保育室」などのように、独自の制度で一定の質を保証し、運営費を補助している自治体もあります。これらの保育園に入る場合には自治体を通しての契約ではなく、園との直接契約になります。保育料も上限額が決められており、補助金などの制度もあわせるとそれほど負担も増えないため、認可保育園と並ぶ選択肢となっています。
ちなみに、認可外とされている保育園にも監督基準があり、厚生労働省の基準に照らし合わせて各都道府県が監督し、結果を公表しています 12。東京都では児童福祉局のウェブサイトに、開園時間、連絡先、基準を満たす旨の証明書の有無などが掲載された一覧があります。こうした資料も活用したいですね 13。
【まとめ】情報を集め、自分の目でもきちんと確認しよう
近年、首都圏を中心に待機児童数が増え続けているなか、働く親にとっては、無認可の保育園も選択肢のひとつとなります。
自分の家庭・可愛い我が子にはどんな保育園があっているのか。働き方や職場の事情、どう育ってほしいのかなどを家庭で話し合い、必要な情報を集めましょう。
保育園を見学する際は、設備などのハード面だけでなく、保育士さんや子供たちがイキイキしているか、アットホームな雰囲気があるかなどもポイントになります。
長ければ親子ともども6年間通い続けることになる保育園。「認可」であるかと同時に、「自分たち親子にとってベストかどうか」もしっかり見極めたいですね。
次に読む
Notes:
- e-Gov 児童福祉法第7条を参照 ↩
- ベネッセ教育情報サイト 「幼稚園・保育園の基礎知識」を参照 ↩
- 文部科学省「学校教育の対象年齢について」、e-Gov「児童福祉法」を参照 ↩
- All About 「認可保育所と認可外保育所の違い」を参照 ↩
- ベネッセ教育情報サイト 「幼稚園・保育園の基礎知識」を参照 ↩
- 東京都世田谷区 公式サイトを参照 ↩
- 東京都杉並区 公式サイトを参照 ↩
- 東京都江戸川区 公式サイトを参照 ↩
- 厚生労働省 「保育所の設置認可等について」を参照 ↩
- 厚生労働省 「子ども・子育て新支援制度 なるほどBOOK」を参照 ↩
- All About 「認可保育所と認可外保育所の違い」を参照 ↩
- 厚生労働省の資料を参照 ↩
- 東京都福祉保健局 「認可外保育施設に対する指導監督要綱」を参照 ↩